初めての鉛筆削り機
みなさんこんにちは。かいです。
鉛筆といえば、ほとんどの皆さんが小学校に上がった頃か、あるいはそれよりも幼い時分に触れる機会のある筆記具だと思います。
最近では子供向けに正しい筆記位置で握ることができるように、断面が三角形になっていたり色々な工夫がなされた鉛筆も発売されていますね。
鉛筆に触れるようになると同時に、多くの方は鉛筆を削るために鉛筆削り機を手にすることもあったのではないかと思います。
私が鉛筆削り機というものに初めて触れたのは、小学校に上がった時であったと記憶しています。
小学校に入学したことにより、それまでとは異なり、毎日のように鉛筆を使用する事になるためです。
買ってもらったのは、円柱を半分に切った形で若干くすんだような水色の本体と、黒いケーブルのついた差し込みプラグが尻尾のように伸びた電動式のものでした。
メーカーなどは全く記憶していないのですが、40年近く前のことなので、おそらく現在の大半の製品とは違って日本製であったと思います。
正面に開いた穴に鉛筆を差し込むと、
「おががががががががが!」
というモーター音と共に差し込んだ鉛筆が削れていくわけです。
子供ながらに「すげー」とか感心していた。
今思い出しても、削り上がった鉛筆の先は見事に研がれていた。
シャープペンシルの登場
私が中学校に通っている間はその鉛筆削り機を使用していたのですが、高校に上がったあたりから普段の筆記にシャープペンシルを使用するようになり、自然と鉛筆削りを行う回数は減っていきました。
その頃になると、鉛筆削り機は私や弟が貼りたくった仮面ライダーやら何やらのシールや落書きに埋め尽くされ、学習机の隅でえらくサイケな外見を晒していた。
思い返してみると小学生から中学生当時、友人宅に遊びに行くとほぼ間違いなく電動式の鉛筆削り機が学習机の上に置いてあったものだが、どの家にある鉛筆削り機も全て種類が異なっていたように記憶しています。
前述したように我が家にあったのは、円柱を立たせた状態で縦に真ん中から切った形の、要するにちょっと身のぶ厚いかまぼこの様なシンプルな形状の物であったが、ある友人の家にあったものはずんぐりとした四角柱のような外観のもの、またある友人の家にあったものは削り機の上面に赤、黄、青のカラフルなランプがついており、鉛筆の差し込み具合によって削る具合の調整ができると言うギミックの付いたものもありました。
とはいえ、あくまでも鉛筆を削る本人の手による調整を行う必要があると言う、便利なのか不便なのかよく分からないものであった。
電動鉛筆削り機との別れ
十数年前に引っ越しをしたので、その時に件の鉛筆削り機を捨ててしまったが、壊れることなど全くなく、30年近くの使用に耐えていた。
改めて考えても本当によく保ってくれたと感心します。
とにかく派手な外観のもの、子供たちの関心を引くための様々なギミックのついた鉛筆削り機が世に出回っていたのではないでしょうか。
鉛筆再び・・・
高校を卒業したのち、私はデザインを学ぶための学校に進学したため、再び鉛筆を握る回数が増えていきました。
その当時は、主にカッターナイフを使って鉛筆を削っていました。
小学校に上がるときに買ってもらった鉛筆削り機を使うと、小学生当時は気にもならなかった、削りあがった時の鉛筆の木の部分と芯の長さのバランスがどうしても気になっていたのです。
あくまでも個人的な意見ですが、電動式の鉛筆削り機で削られた木の部分に対して芯の長さが短いように感じて、もう少し芯を長く削れないか、と私は常々思っていました。芯の先をシャープに削るより、芯の長さを若干長めに削るほうが美しく感じ、そちらに気持ちが傾いていたのです。
それで、自分で調節ができるカッターナイフを使って芯を好みの長さに削っていたというわけです。
小学生の頃から手先は器用な方であったので、怪我することなく思うさま鉛筆を好みに削る日々が続きました。
デッサンに使ったり普段の筆記に使ったりする鉛筆を、自分が最も美しいと感じる形状に削っていました。その当時、学校でも使用していたステッドラー(STAEDTLER ドイツの筆記具メーカー)のマルス ルモグラフと言う鉛筆を使用する頻度が高かったため、確か鉛筆の硬度に合わせて芯の長さを調節していたように記憶しています。
手動鉛筆削り機
鉛筆を使用して絵や文章を書く事は、社会人になってからも続きました。相変わらずカッターナイフを使って鉛筆を削る作業を行なっていた。そんなあるとき、何のきっかけであったかは失念してしまったのですが、とある手動の鉛筆削り機の存在を知りました。
それが、「カール事務器株式会社」という文房具、事務用品などの企画、開発、製造、販売を行っている会社から販売されている「エンゼル5 プレミアム」という商品です。
カッターナイフを使って鉛筆を削るようになってから、手動の鉛筆削り機という物の存在をほとんど気に留めたこともなかったのですが、非常にシンプルな外観に懐かしさを感じたと同時に小学生の頃、親戚の家に遊びに行ったとき、これとよく似た外観の鉛筆削り機があったことを思い出しました。
商品の紹介を見ているとき、ある画像で私の心はエンゼル5 プレミアムに鷲掴みにされたのです。
それは、エンゼル5を使って鉛筆を削り上げたときのものでした。
鉛筆の外層部から芯に向かって流れていく線が、ほんの僅かではあるが弓なりになっているのである!
私が小学生の頃から使用していた電動式の鉛筆削り機はもちろん、学校に持って行くときに使っていた、掌に収まるくらいの小さな手動式の鉛筆削り器で削った鉛筆は、外層部から芯先に向かって直線を描いていたし、それが普通だと思っていました。
そもそも私がカッターナイフで鉛筆を削るようになったきっかけは、この直線が描きだす木の部分と芯の部分のバランスが気になって仕方がなかったためです。
私はそれを、カッターナイフで削ることによって自分好みの芯の長さ、自分好みの曲線を手に入れ満足していたのです。
私が見たその画像は、私が理想としている木の部分と芯のバランスを完全に表現しているというわけではありませんでした。しかし、その削りあがりは本当に美しかった。
「おほほぅ・・・」
と、本当に感嘆の声が漏れ出た。
この鉛筆の削り上がった美しい姿を手に入れたかった。
値段を見ると、社会人となった身には決して高価ではない価格であったので、迷わず購入しました。
注文して数日後、エンゼル5は無事自宅に届いた。色々と叩かれる事もあるみたいだけどAmazonってやっぱ便利だな、と思う。
外装箱はボール紙で作られたシンプルなものだった。箱の横面にカール事務器さんがめざすエコロジーについての紹介文が印刷されています。
このエンゼル5シリーズですが、日本製であることを明記しています。削り刃についても日本製であり、長く使用できることを前提として設計されています。
私が購入したのは本体色の青い方。商品説明には「ブルー」とだけ記されているが、紺のメタリックに近い、落ち着いた色味の塗装である。塗装面のムラもほとんど見られず、手動の鉛筆削り機という比較的シンプルなツールであることも相まって、とても可愛らしく見える。
当時自宅で使っていたミツビシのHi-uni(HB)の新品を取り出し、エンゼル5のチャックに挟む。えんじ色のHi-uniがエンゼル5の濃紺色に映えるではないか。
うつくしい。
ちなみにこのミツビシHi-uni、ステッドラーや他のメーカーの鉛筆と比べて本体が若干太く作られており、握った時の安定感とそれから来る長時間筆記時の指の疲れが少ない。
あくまでも個人の感想ですが。
左手で本体の上部をおさえ、右手でハンドルを回す。最初は削り刃が鉛筆の端っこを引っ掛けるような「カカッ」という軽い音が続き、しばらく回すと音が少しづつ変化してゆく。
ゆっくりと鉛筆がエンゼル5に吸い込まれ、同時に右手にかかる抵抗が強くなる。そしてあるところを越えると、右手の抵抗はほとんど無くなった。
削りあがったのだ。
チャックを開き、ゆっくりとHI-uniを引き出す。
おお・・・
本当によく見ないとわかりづらいが、芯先から外層部にかけて弓なりになっている。
綺麗だ・・・
私が個人的に理想としている鉛筆のバランスはこれとも若干異なるものの、それでも充分に美しいと思う。
この削りあがった鉛筆で、文章を書いてみたり様々なアイデアをメモしたり、いろんな事をするのである。
以来、私は鉛筆を削るとき、このエンゼル5 プレミアムを使用しています。
私が購入した「プレミアム」の他、「ロイヤル」という少し高価なモデルもあります。
ロイヤルの方は鉛筆の削りあがりが二段階に調節できるようです。また、鉛筆のロック機構が金属製のパーツとなってます。
最近Amazonでこの商品のレヴューを読むと、使い始めて数日で壊れたという報告も見られました。幸い私は購入してまる8年になるが、相変わらず調子良く削れており、機械的な故障もない。工業製品である以上、ある程度の当たりはずれがあるのかもしれません。
カキモノを愛する方、鉛筆を愛する方、機会があればぜひエンゼル5を試してみることをお勧めします。
それでは、今日も良いカキモノ日和でありますように!