ラミー アルスター 万年筆

みなさんこんにちは、かいです。

かつて万年筆の持つイメージといえば、「高価な筆記具」というのが挙げられたと思います。

私が万年筆に興味を持ちはじめた頃も、誰しもが簡単に購入できるようなものではなかったようです。

それは、高価だったから、というよりも扱っている店舗が現在のように多くなかったから、という方が正しいかもしれません。

目次

ドイツの筆記具メイカー

私が初めて触れた万年筆は、現在ではアメリカの大きなグループ企業の一部門の傘下になった「パーカー」というメイカーのペンだったのですが、今回タイトルにあるラミー(LAMY)も、パーカーと無関係ではありません。

ラミーとは?

1930年、パーカー社で営業担当をしていたカール・ヨーゼフ・ラミー氏がドイツ、ハイデルベルクにラミー社を設立しました。

そして、ラミー(LAMY)のブランド名を持つ製品は1952年に発売されました。

「ラミー 27」という名のその万年筆は、パーカー社の製品の影響を残したものでした。

それから10年が経ち、創業者の息子であるマンフレード・ラミー氏が2代目の社長として入社します。

マンフレード氏は現在までラミーで続いている大きなコンセプトを掲げ、同業他社との差別化をはかります。

それが、バウハウスのコンセプトである「機能によってかたち作られるデザイン」です。

バウハウスとは?

バウハウス(ドイツ語: Bauhaus)は、1919年、ヴァイマル共和政期ドイツのヴァイマルに設立された、工芸・写真・デザインなどを含む美術と建築に関する総合的な教育を行った学校。また、その流れを汲む合理主義的・機能主義的な芸術を指すこともある。無駄な装飾を廃して合理性を追求するモダニズムの源流となった教育機関であり、活動の結果として現代社会の「モダン」な製品デザインの基礎を作り上げた。デザインの合理性から、幅広い分野にバウハウスの影響が波及しており、特に理由がない限り標準的なデザインとして採用されている。
世界で初めて「モダン」なデザインの枠組みを確立した美術学校である。学校として存在し得たのは、ナチスにより1933年に閉校されるまでの14年間であるが、当時他に類を見ない先進的な活動は、現代美術に大きな影響を与えた。19世紀までの装飾性に富んだ歴史主義建築などとは異なり、バウハウスの芸術家が生み出したデザインは極めて合理的かつシンプルなデザインであるため、機械的な大量生産に適していた。そして、産業革命により20世紀初頭に巻き起こった、製品の合理性を追求するモダニズムの流れの中で、バウハウスのデザイン手法も派生を繰り返しながら爆発的な拡がりを見せて行った。現代までに、コンクリート製の建築物や、IKEAなどの普及品の家具のデザインや、ユーザーインタフェースのグリッドレイアウトやフラットデザインなど、多数の製品にバウハウスと同様の手法が使われて来ている。その他、ネット社会において、SNS等で多数投稿されている写真の自撮り・コラージュなども、バウハウスが起源となっている。テクノロジーの活用はメディアアートにも影響を与え、現代のデジタルコンテンツの制作手法の基礎にもなっている。レゴの元祖と言えるブロック玩具も存在する。従って、バウハウスが発明した合理性を追求したデザインは、現代人が意識する必要がない程に日常化したと言える。

Wikipedia:「バウハウス」より引用

ラミーの製品

1966年、ラミーの独特なデザインをあらわす製品が発売されました。

それが「ラミー2000」です。

ラミー2000シリーズ。画像はラミー公式サイトより引用。
ラミー2000シリーズ。画像はラミー公式サイトより引用。

この製品は「西暦2000になっても通用するデザイン」をコンセプトとしてデザインされました。

この製品のデザイナーはバウハウスの影響を強く受けたゲルト・アルフレッド・ミュラー氏です。

発売から50年以上が経過してなお、ラミー2000はデザイン変更されることなく販売を続けています。

バウハウスの掲げたコンセプトが、先見性の高いものであったことがよくわかります。

さらに、実はラミー製品のデザインを手掛けた日本人もいます。

それが深澤直人氏です。

彼は「ラミー ノト」というシリーズのデザインを行いました。

ラミー ノトシリーズ。深澤直人氏がデザインされました。画像はラミー公式サイトより引用。
ラミー ノトシリーズ。深澤直人氏がデザインされました。画像はラミー公式サイトより引用。

この製品は画像ではわかりづらいのですが、ペンの断面が角を落とした柔らかい三角形状になっています。

そのため自然な形で握ることができ、非常に安定します。

さらにクリップはペンの一部に切り込みを入れたようにデザインされていたり、ノックボタンが微妙にオフセットされていたりと、遊び心を感じさせるペンです。

ラミーの製品には、ほかの筆記具メイカーと同様、多くの万年筆もシリーズとしてラインナップされています。

ラミー インポリウム 万年筆。画像はラミー公式サイトより引用。
ラミー インポリウム 万年筆。画像はラミー公式サイトより引用。

中には1本5万円を超える高価なペンもありますが、今回は比較的安価な万年筆、「アルスター」を紹介します。

アルスター

ラミー アルスター(AL-star)は、ラミーのベストセラーモデルであるサファリ(Safari)を基に作られたモデルです。

サファリとは、明るくカラフルな樹脂製ボディと太いワイヤー製のクリップが特徴のシリーズであり、ベーシックカラー以外にも毎年限定色のペンが発売されます。

ラミーサファリのシリーズ。画像はラミー公式サイトより引用。
ラミーサファリのシリーズ。画像はラミー公式サイトより引用。

ドイツ本国での学生たちに人気があり、特に若い世代のユーザーから支持されています。

また、筆記時に指を正しい位置で添えるようにくぼみが設けられており、握った時に非常に安定します。

万年筆、ボールペン、ローラーボールペン、ペンシルの4種類がラインナップされていますが、カラーシリーズによってはペンシルが用意されていないものもあります。

万年筆のインクシステムはカートリッジ、コンバーター両用式を採用しています。

ペン先がステンレススチール製であり、ニブはEF(極細字)、F(細字)、M(中字)の3種類があります。

ペンシルは芯の径0.5㎜です。

2002年からサファリにはボディが透明樹脂製のスケルトンモデルが加えられ、さらに人気が出ました。

グリップ部にくぼみがあり、正しい位置で握れるようになっています。
グリップ部にくぼみがあり、正しい位置で握れるようになっています。

さて、アルスターとサファリとの違いはいくつかありますが、まず樹脂製ボディを採用しているサファリに対し、アルスターはボディがアルミニウムで造られています。

そして、サファリシリーズでは用意されていたペンシルが、アルスターにはありません。

万年筆、ローラーボール、ボールペンの3種類になります。

万年筆のペン先はサファリと同じくステンレススチール製で、ニブもサファリと同様、EF、F、Mの3種類です。

画像上がサファリ。下がアルスターです。
画像上がサファリ。下がアルスターです。

また、サファリに比べてアルスターの方がボディの径が若干太く造られています。

さらにアルスターは落ち着いたカラーリングを採用していますので、若年層に人気のあるサファリよりも年齢層が高いユーザーにも人気があります。

ビジネスシーンなどで使用しても違和感はないと思います。

最近の話なのですが、友人の一人から「初めて万年筆を持つならどんなのがいいのか?」という質問を受けました。

友人は筆記具や文房具が好きで、ユニークな文房具を探して実際に使用しているのですが、万年筆はまだ使ったことがありませんでした。

万年筆の構造や、メインテナンスの方法なども詳しくは知りませんでしたので、その辺りの話からしました。

結果として私はラミー アルスターを勧めました。

理由として、まず安価であること。

アルスターの定価は5000円ですが、さまざまなオンラインストアで販売されており、価格の低いストアで探せば2000〜3000円くらいで見つかります。

そして、いわゆるステレオタイプの万年筆とは異なるデザインであり、アルミニウムで造られた本体もそのクオリティは高く、コストパフォーマンスに優れます。

ラミー社は技術力の維持・強化のために、ドイツ国内における自社生産にこだわっています。

部品の製造の大部分とすべての製品の組み立てを、社外に委託せずにハイデルベルク市内の自社工場で行っているのです。

さらにアルスターもサファリと同じく、インクカートリッジ、コンバーター両用式であること。

これについては考え方が分かれますが、初めて持つ万年筆であるからこそ本格的な吸入式を選択する、という考えもあります。

ですが、もし万年筆に興味を持ってくれるなら、2本目以降で吸入式を選択するのも良いのではないか、と考えます。

コンバーターを使っていれば吸入式にもすぐ慣れるでしょう。

アルスターは安価である故にペン先はステンレススチール製ですが、万年筆の書き味に驚くと思います。

金製のペン先を持つ万年筆とステンレススチール製のペン先とを比べると、書き味はやはり異なりますので、書き味へのこだわりが出てくる可能性ももちろんありますが、まだそれは先の話でしょう。

さらにラミーも多くの万年筆メイカーと同様、インクも発売されています。

このインクの種類も、カートリッジは全7色、ボトルインクは6色、クリスタルインクと名付けられた少し高価なボトルインクは全10色があります。

万年筆本体だけではなく、選択するインクの色にもこだわりやお気に入りが出てくるでしょう。

まとめ

あくまでも個人的な意見としてですが、初めて持つ万年筆としてラミーの製品はお勧めできます。

私の友人のように、万年筆について詳しく知らない方にも扱いやすいと思います。

ラミー サファリよりも安価な万年筆も最近では見かけますが、優れたデザインやドイツ国内の自社工場での生産に拘る点にも、妥協しない会社の姿が見えます。

ピストン吸入式の万年筆を初めての1本にしたい、という方は選択肢に入りませんが、一度ラミー製品の良さを経験していただくことも良い選択だと思います。

それでは、今日も良いカキモノ日和となりますように。

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