ツイスビー 万年筆 エコ

みなさんこんにちは、かいです。

以前から気になっていた万年筆の購入に踏み切りました。

それは…

TWSBI(ツイスビー)ECOです!

私が購入したのは『サンセットオレンジ』です。
私が購入したのは『サンセットオレンジ』です。

台湾のメイカー、三文堂筆業有限公司が満を辞して開発したピストン吸入式の万年筆です。

ちなみにTWSBI(ツイスビー)は三文堂筆業の持つブランド名です。

今回わたしは初めてツイスビーの万年筆を購入したのですが、選んだのは『サンセットオレンジ』です。

これはツイスビー製品の輸入元でもある株式会社 酒井(SAKAI)が企画・監修して実現した商品で、日本だけのオリジナルカラーだそうです。

『台湾のウユニ塩湖』と称賛される高美湿地から見える美しい夕陽をイメージしているという事です。

とても明るい色で、ひと目見て気に入りました。

どのようなペンなのか、また書き味までを紹介します。

目次

万年筆について

世に筆記具と呼ばれるものは多くありますが、中でも万年筆に魅力を感じる方はわたしを含め、多くいらっしゃると思います。

万年筆は、現在世界中で利用されているものの基礎となった形が発明されてから約130年、多くのメイカーによって研鑽が続けられてきました。

そして、私たちが手にする完成度の高い商品となったわけですね。

さらに遡れば、1809年にイギリスのフレデリック・バーソロミュー・フォルシュという人物が特許を取得したところから近代万年筆の原型が生まれました。

同じくイギリスのジョセフ・ブラーマー氏も同時期に特許を取得しましたが、その中に「fountain pen」の名称が初めて用いられました。

万年筆とは、胴軸(本体部)の中に収納されたインクタンクから、ペン先までインクを誘導して筆記するメカニズムを持つ筆記具です。

そして、胴軸の中にインクを保持する方法は大きく分けてふたつの種類が存在します。

ひとつは一定量のインクが予め詰め込まれたインクカートリッジと呼ばれる、小さなインクタンクを本体に取り付けて使用する方式です。

さまざまな万年筆メイカーから多くのインクカートリッジが発売されています。

カートリッジ式の利点として手軽に万年筆を使用できることが挙げられます。

カートリッジを使用する殆どの万年筆はペン先部分(首軸)と本体部分(胴軸)がねじ式で取り外せるようになっており、ペン先部分にカートリッジを差し込んで本体部分を取り付け、筆記します。

もうひとつ利点を挙げるとすれば、ペンが汚れにくいという点もあるでしょう。

エルバンのインクカートリッジ。
エルバンのインクカートリッジ。

インクカートリッジは上の画像のように、ペン先部分に差し込むまでインクが漏れ出ない構造に作られています。

また、インクの補充時にペン先をインクボトルに浸す必要がありませんので、ペンも手も汚れにくい状態を維持することができますね。

カートリッジを使用する万年筆は、基本的にコンバーターと呼ばれるインク吸入器を使用することもできるように作られています。

コンバーターもインクカートリッジと同じく、万年筆メイカーから発売されているのですが、国産の万年筆メイカーは自社の万年筆にのみ取り付けできるコンバーターやインクカートリッジを用意しています。

つまりA社の万年筆にはB社のコンバーターやインクカートリッジを使用できない、という事です。

首軸内部にある取り付け部の大きさや形がメイカーによって異なっているためです。

海外のメイカーでも独自の規格を採用している場合がありますが、ヨーロッパでは各メイカーが統一された規格を採用していることもあります。

この場合、例えばC社のインクカートリッジやコンバーターをD社の万年筆で使用できる、という事です。

万年筆のインクはメイカーによって色彩が異なっていますので、お気に入りのインクを愛用の万年筆で使用する、といった楽しみ方もできます。

自由度が高いという意味で万年筆ユーザーにとっては受け入れ易い事だと思います。

さて、コンバーターとは和訳された字の如くインクをインクボトルから吸い上げて内部に保持させる機器です。

ペリカン社のコンバーター。
ペリカン社のコンバーター。

上の画像でいうと、コンバーターの尾部にある黒い樹脂部をくるくる回転させる事で、コンバーター内部に組み込まれているピストンが上下に連動して動きます。

万年筆の首軸にこのコンバーターを取り付けた状態でインクボトルにペン先を浸し、黒い樹脂部をくるくる回転させるとインクをボトルから吸い上げるのです。

コンバーターの使い方がイラストで説明されています。
コンバーターの使い方がイラストで説明されています。

準備ができたら本体部分(胴軸)を取り付け、筆記します。

この方式の万年筆は「カートリッジ・コンバーター両用式」と呼ばれます。

比較的手軽に万年筆を楽しむことができますので、多くのメイカーがこの方式を採用しています。

さて、インクを胴軸内部に保持するためのもうひとつの方式が「ピストン吸入式」と呼ばれる方式です。

こちらは、コンバーターの機能を万年筆の胴軸内部に予め組み込んだものです。

そのためインクカートリッジやコンバーターは同一メイカーが販売するものであっても使用できません。

吸入式のペン。胴軸内部にある黒い棒状のものが上下してピストンを動かします。
吸入式のペン。胴軸内部にある黒い棒状のものが上下してピストンを動かします。

吸入式万年筆の利点としてまず挙げられるのが、インクを吸い上げて筆記することによって万年筆内部の洗浄が行える、という事です。

万年筆はインクタンクからペン先のさらに先端にある「切り割り」という部分まで、毛細管現象によってインクを運び、筆記するツールです。

ですので、僅かな異物や埃などが外部からインクに混入してしまっても筆記に不具合が発生してしまう事があります。

不具合といってもさまざまで、いきなりインクが詰まって筆記できなくなる、なんてことはまずありませんが、異物が何処かにとどまることで万年筆が持つ魅力のひとつであるなめらかな書き心地が阻害されてしまうことは考えられます。

吸入式の万年筆ですとコンバーターと同様、尾部をくるくる回転させる事によって胴軸内部のピストンが動きますので、インクボトルにペン先を浸したままで吸入、排出を行う事でも万年筆内部をインクによって洗浄できる、ということです。

もちろんコンバーターを使用した万年筆でも同様の効果が得られます。

これが吸入式万年筆の利点のひとつです。

かといってインクカートリッジ式の万年筆がダメと言う事ではありません。

カートリッジ式の万年筆にも利点はありますし、カートリッジを交換する際に万年筆を洗浄するなど、気をつけておく事で吸入式の万年筆と変わらず永く愛用する事ができます。

インクカートリッジを取り付けた状態の万年筆。
インクカートリッジを取り付けた状態の万年筆。

基本的な事として、万年筆に限らずですがあらゆるツールにメインテナンスは必要なものです。

万年筆にとっては、インクを吸い上げて筆記するという一連の流れがそのままメインテナンスになっている、ということですね。

さらにピストン吸入式の万年筆はよく「本格的な万年筆」といわれる事があります。

これはつまり、そもそも現代の万年筆というツールがとりあえずの完成を見たときに採用されていたシステムが吸入式だったからであり、前述のように筆記をする事によって万年筆のメインテナンスも行える利点を兼ね備えていたためです。

世に出るべくして出たメイカー

TWSBIは台湾に拠点を置く三文堂筆業有限公司が製造・販売するブランドです。

三文堂筆業有限公司は、もともとTA SHIN PRECISION株式会社という前身を持ちます。

この企業は、LEGO社のブロックや筆記具など、名だたる世界的ブランドからのOEMを実に40年以上に渡って請負い続けてきました。

これは、40年間以上様々なメイカーの筆記具を熟知し続けてきた事を意味します。

長いOEMの中で、世界的にヒットする商品について研究を重ねる機会もあったことと思います。

そして多くの実績、経験を重ね、TA SHIN PRECISION株式会社オリジナルのブランドを作成する事にしたのです。

そして生まれたのがTWSBIです。

TWSBIとは?

TWSBIというブランド名には「3つの文化の殿堂」という意味が込められています。それは中国語で「三文堂」と表されます。「文」は「ことば」そして「文化」を意味します。そして「三文堂」は、清朝の第6代皇帝・乾隆帝が漢詩を綴った3点の書の大作を飾るために建立した「三宝堂」を想起させます。(その3作のうち1点は現在、我が国の台北の国立王宮美術館に、ほかの2点は北京の王宮美術館に展示されています。)

この「三文堂」をアルファベットで表すと「San Wen Tong」となり、頭文字を後ろから表記すれば「TWS」となります。このTWSに中国語で「筆記具」を意味する「BI」を加え、私たちはブランド名をTWSBIと名づけました。

現在ツイスビーの商品は日本全国のショップで購入が可能です。

以上、株式会社 酒井公式サイトより引用。

ツイスビーのペン

ツイスビーから発売されているペンの特色のひとつとして、豊富なカラーリングが挙げられます。

今回わたしが購入したECOは、ECOの派生モデルを含めると10色以上のラインナップとなり、今年に入ってからも新色が登場しています。(2020年5月現在)

しかも、そのいずれのカラーもとても目を惹く色合いで可愛らしく、一本だけではなく複数本欲しくなります。

ツイスビー ダイヤモンド

ツイスビーのハイエンドモデルが『ダイヤモンド』です。

このモデルは長時間の筆記でも疲れないフォルムをローコストで得られることを目標として開発されました。

『ダイヤモンド』の名称の由来は、胴軸の多面体カットがダイヤモンドのようなきらめきを放つことから来ています。

『ダイヤモンド』にもふたつのシリーズが存在し、ひとつは『スタンダードシリーズ』、もうひとつは『ALシリーズ』です。

スタンダードシリーズは胴軸のグリップ部分とピストン部分の材質にポリカーボネートが使用されているのに対し、ALシリーズはグリップ部分とピストン部分に美しい仕上げのアルミニウムが使用されています。

ふたつのシリーズともに数種類のカラーリングが存在し、お好みで選択できます。

ツイスビー GO

既存の万年筆のいずれとも異なるメカニズムを搭載したペンがGOです。

胴軸の中にインクタンクと、インクタンクにインクを吸入させるためのスプリングが搭載されていて、スプリングを一回プッシュすることで1.5mlのインクが吸引されることになります。

コンバーターの手動の機能をスプリングに置き換えたという事ですね。

画像は株式会社酒井より引用。
画像は株式会社酒井より引用。

このモデルもコストを下げるためにクリップなどの金属製パーツをなくしています。

ユニークで可愛らしいデザインの万年筆です。

ツイスビー ECO

そして今回わたしが購入したモデルがこのECOです。

ECOの名称は(economic)からくるもので、これは経済的、転じて求めやすい価格に由来するそうです。

ツイスビー製品の中でもエントリーモデルとして位置付けられますが、その品質の高さは間違いなく価格以上のものです。

紙ケースに包まれた形で販売されています。
紙ケースに包まれた形で販売されています。

ピストン分解用のツールが付属

もうひとつ驚いたことがあります。

これまでにわたしは何本かの万年筆を購入してきましたが、吸入式のペンでメインテナンス用のツールが付属しているものは初めてみました。

万年筆を分解清掃する場合、専用のツールは別途購入する必要がありますし、多くの場合は万年筆を扱っているお店に依頼することが無難だと思います。

そして、こういった専門のツールは一般に普及していないこともあり結構値が張ります。

パッケージを開けたところです。
パッケージを開けたところです。

上の画像がパッケージを開封したところです。

ペン本体のほか、小さなボトルと朱色のレンチのようなツールが同封されています。

ボトルの方はシリコーンオイルが入ってます。

ピストンを分解、清掃した後に塗布するためのものですね。

そして朱色のレンチ状のツールが『ピストンキー』などと呼ばれるピストン分解用の工具です。

こんな感じで差し込みます。
こんな感じで差し込みます。

分解する場合、ピストンを前端(インクを吸入する前の形)まで移動させた状態にします。

すると胴軸と尾部の間にわずかな隙間ができますので、そこにツールを差し込んで…

これでピストンを取り外せます。
これでピストンを取り外せます。

ペン先を下に向けた形をとり、ツールを時計回りに回すとピストンを分解することができます。

わたしは吸入式のペンを洗浄する際、超音波洗浄機を使用することが多いのですが、まれにピストンの内側(インクを溜める部分よりも尾部寄りの空間)に水が入ってしまうことがあります。

放っておいてもそのうち蒸発するのですが、どうしても目に入る部分ですので、気になるのです。

ですが…

ECOをご覧ください!

そのストレスを感じることがなくなったのです!

だってピストンキーが付属してますもんね!

いやぁ素晴らしい。

しかもツイスビー製品の良さはそれだけではありません。

全体的な仕上げ、品質の高さ

ペン本体はこのような感じです。
ペン本体はこのような感じです。

ペン全体の仕上げの品質の高さはひと目見て判ります。

胴軸の太さ、筆記状態でのバランスなど、長時間筆記に耐えるよう設計されています。

胴軸はクリスタルの様に美しく磨き上げられていますので、カラフルなインクを入れて使用するとき、目で楽しむこともできますね。

ペン先はステンレススチール製ですので、柔らかい金ペンを常用している方が初めて使用するときは違和感を覚えてしまうかもしれませんが、使っていくうちにこのペン先に慣れるでしょう。

ペン先はステンレススチール製です。
ペン先はステンレススチール製です。

ペン先は『TWSBI』の文字とロゴマークが刻印されています。

この万年筆のニブ巾はEF、F、M、B、のほか、STUB1.1㎜というあまり聞き慣れない種類のニブもあります。

STUB(スタブ)とは、いわゆるカリグラフィーペンのようなものです。

カリグラフィーペンほど顕著ではないのですが、万年筆を縦に動かした場合と横に動かした場合の線幅が異なるように作られたニブです。

このニブは欧米において好んで使用する方が多いのですが、日本ではそれほど定着していないようです。

雰囲気のある文字が書けますので、スタブを選んでみるのもいいかもしれません。

リーズナブルな価格

ECOの価格は定価で5000円(税別)です。

これより低価格な万年筆は国内、国外のメイカー問わずいくつか存在しますが、吸入式であること、専用のツールが付属していることなどを踏まえると、かなりコストパフォーマンスの高いモデルだと思います。

書き味は?

それでは、ECOを使って実際に筆記してみましょう。

今回使用するインクは…

これです!

PILOTから販売されている『色彩雫(いろしずく)』から秋桜(こすもす)です。

秋の桜と書いてコスモスと読ませる。

うーん、日本語って美しいですね。

さて、色彩雫のシリーズは2020年5月現在、24色がラインナップされており、内容量50mlに対してメイカー発表の価格は1500円+税と比較的安価です。

赤みがかったピンクのような色合いですね。
赤みがかったピンクのような色合いですね。

ECOのもう一つの特徴として、インクタンクの容量が2mlもあることが挙げられます。

一度の吸入でかなり長時間の筆記が可能です。

これが『ECO』の名称の由来の一つでもあるそうです。

一般的なノート用紙に試し書きしてみました。

ノートはコクヨのtwin ring notebookです。

書き味ですが、やはりステンレススチール製のペン先を使用していますので硬めですね。

かなり筆圧をかけた状態でも線を引いてみたのですが、ペン先はあまり広がりませんでした。

硬めのペン先を好む方にはかなり扱いやすいのではないでしょうか。

金製のペン先がもつ独特の柔らかさを好む方からすると、少し物足りないと感じてしまうかもしれません。

ですが、普段使いでノートや手帳に書き込む場合などは充分ですし、何より吸入式万年筆をリーズナブルな価格で楽しむことができるのは素晴らしいと思います。

まとめ、ECOの魅力

わたしがTWSBI ECOのもつ魅力を挙げると、まずコストパフォーマンスの高さがくると思います。

定価5000円+税という比較的安価でありながら吸入式であること。

そして分解清掃が所有者自身で行えるよう、専用ツールが付属していること。

さらに実際に手にとってみると判るのですが、重量バランスや本体の径が絶妙であり、長時間筆記に耐える設計であること。

わたしはどちらかと言えば指が短い方なのですが、わたしが持っても大きすぎず小さすぎずのサイズです。

手のサイズが小さめの女性には、少し大きく感じてしまう場合もあるかもしれませんが、持ちづらいというほどではないと思います。

筆記状態でこんな感じです。
筆記状態でこんな感じです。

わたしはよほど小さなサイズの万年筆でない限り、筆記時はキャップを尾部に取り付けずに使用します。

取り回しが簡単だと感じるからです。

ECOもキャップを尾部に取り付けずに使用したのですが、とてもバランスが良いと思います。

正直これだけで価格分の価値はあるのではないでしょうか。

さらに多くのカラーバリエーションが用意されており、一本だけに留まらず複数本所有したくなります。

今回わたしはFのニブ巾を購入しましたが、ほかのニブ巾のモデルにも興味が出てきました。

ステンレススチールのペン先には賛否が分かれるかもしれませんが、ペン先のコシの柔らかさは個人個人で好みが多様に分かれる点ですので、決して否定的に見られる必要はないと思います。

むしろいわゆる『鉄ペン』でここまでの仕上がりを見せてくれることに驚いています。

三文堂筆業から発売されているTWSBIの万年筆、万年筆に興味を持っている多くの方にお勧めできるペンです。

また、万年筆に慣れている方々にも一度手に取って使用してもらいたいと感じています。

しばらくこのペンを使ってみて、またレヴューしてみたいと思います。

それでは、今日もよいカキモノ日和となりますように。

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